コラム

Orcasaの品質管理のおはなし-施工要領書-

皆様、取扱説明書というものはご存知かと思います。家電や家具など様々な商品に付属されている『適切な使い方』を記してある書類ですね。

自宅にある家電や器具などの説明書をすみずみまで確認していくと実は意外とメーカーが推奨しない「不適切」な方法で使っているかもしれません。例えば、私がずいぶん前に運動不足を解消しようと思って買ったステッパーは連続で20分以上踏んではいけない製品だったことを最近知りました。いつも20分以上運動していたのでメーカーの想定よりは酷使していたわけです。こういった推奨外の使用方法は製品が壊れず事故がなければまだ良いのですが、危険だったり早く壊れてしまうことにつながるわけです。

それでは「施工要領書」というものをご存じでしょうか。物件購入された経験のある方は内覧時に説明を受ける中で、あるいは引渡し時に様々な書類のやり取りのときに見たことがあるかもしれません。施工とついていることからお判りになると思いますが、建、土木、設備などの「工事」における重要書類の1つです。工事管理上の同名の書類もありますが、ここではメーカーが出している製品の施工要領書に関するお話です。

場合によっては取付け説明書などと記されていて、その製品を取付けたり組み立てたりするときの適切な取扱い方法や手順が示されたものです。この書類が付属するものは内装用の化粧パネルや壁紙、窓枠などリフォーム用の建材からキッチンやバスルームなど多岐にわたります。私たちが施工管理するときにはあってはならぬミスが起こらないようにこの書類の内容に注意を払っています。

ほとんどのメーカーさんは様々な試験結果に基づき適正な取り付け部品(たとえばネジやビス)を同梱していて、取付ける箇所に応じて選べるように部品の長さや太さが微妙に異なるものが複数用意されていることも。それにも関わらず、経験と『勘』で間違った方法と部品でつけられてしまうことがあります。

それによって起こる不具合の例を挙げると、収納家具の組立て金物が間違っているために板と板に隙間が生じたり、建具の蝶番の歪みが早く発生したり、フローリングに異常な(建材の伸縮以外の)軋み音が発生したりetc……。場合によって製品を取付たときの強度がメーカーさんの想定より低く危険な状態にもなり得ます。

もちろん、施工要領書や取り付け説明書の通りに施工しているかを予めチェックし、正しい施工手順を説明、または誤った手順を踏みそうな時に正しい方法に修正指示をすることも私たち品質管理部が行う重要な施工管理となります。※施工環境を考慮してより良くするために違う部品を用意する事はあります。

これらは施工者用の書類なので皆様が目にすることはほぼありませんが、こういう書類に則って施工していることはあまり知られていないかと思います。我々品質管理部も社内検査において不具合が予測出来る箇所はまず施工要領書を確認するものです。

今回は品質管理で重要な書類「施工要領書」の話題でした。

Orcasaを運営する(株)Panomaは1級建築士事務登録をしております。お客様が叶えたいこと、やってみたいことなどなんでもご相談ください。次回もリフォームやリノベーションの話題をお届けいたします。素敵な提案と信頼できる現場管理をお約束するオルカサでした。