コラム

マンションのフルリノベーションをするときに注意すること・できないこと

マンションのフルリノベーションと言えば、「自由なプランニング(間取り)でなんでも出来る・・・」とイメージされるのではないでしょうか。 確かに、出来ることは沢山ありますが、あえて、「出来ないこと、気をつけたいこと」をお話いたします。まず、お話させて頂きたいのはマンションとは集合住宅であるということです。多くの入居者(他人)が暮らすマンションでは、他の入居者の迷惑にならないプランニング(使い方、間取り)を心掛けなければなりません。

マンションの管理規約で注意点を確認する

他の入居者に迷惑を掛けないということは、マンションごとにある管理規約に明記されています・・・一般的に用いられる、国土交通書策定の「マンション標準管理規約(以下 管理規約という)」では、第1条に「この規約は、マンションの管理または使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。」と記載されております。

さて、マンションのお部屋(専有部)で、料理上手な奥様が料理教室を開きたい・・・といった場合はどうでしょう?とても、夢のあるお話とおもいますが、管理規約の第12 条には以下のような文言があります。「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」実は、殆どのマンションでは、マンション入居者以外の不特定多数の人のマンション内への立ち入りを抑制するために、専有部の事務所や事業用の利用が禁止されていますので注意しなければなりません。

また、専有部とはいえ、リフォームやリノベーションをする場合、管理組合の承認を得る必要もあります・・・勝手にリフォームやリノベーションをしてはダメだということです。

管理規約の第17 条第1項で「区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替えまたは建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(リフォームやリノベーション)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。」と規定されています。

以上のように、他人同士が暮らすマンションでは、住環境の保全のための諸規制が定められていますので、のこの点を留意したプランニングにする必要があります。ここまでは、「リフォームやリノベーション後の専有部の使い方」に係わる問題でしたが次は「間取りなど」の注意点をいくつかお話致します。

間取りの大幅な変更には配慮が必要なことも

マンションは、大体が上下階で同じ間取りではないでしょうか・・・例えば、キッチン部は下階でも上階でもキッチンという具合です。では、貴方の上階の方が「外の風景を見ながら料理をしたい」と希望され、バルコニーやベランダ側にキッチンを作ってしまった場合を考えてみましょう。

近年のマンションでは上下階や隣接住間戸の遮音がしっかりしておりますが、完全に騒音をシャットアウトできるわけではありませんので、夜中や早朝など静かな時間は入居者同士が生活騒音に配慮が必要です。

バルコニーやベランダ側は概ね、リビングとか寝室にするような主たるお部屋が、配置されております。上階の方が、貴方のリビングとか寝室にするような主たるお部屋の上にキッチンを設けられたら、恐らく足音など生活騒音が気になると思いますし、上階の方も夜中に足音を立てないように気を使いながら夜食を作らなければならないかもしれません。

電気やガスの供給容量は変更可能か?

次に、少し築年数が経った(築30 年以上)マンションでは、電気とガスの問題があります。実は、マンションでは、マンション全体の電気やガスの供給容量を決めて建築されており、供給容量の範囲で電気やガスを各住戸に均等に分配しています。例えば、築30 年以上前のマンションの3LDK 程度の住戸では、電気の契約容量が30〜40A と思われます、この住戸をリフォームやリノベーションして、キッチンにIH クッキングヒーターを設置したり、各部屋にエアコンを設置したりするので「契約容量を60A にしたい」と希望されても、電力供給会社が応じてくれない場合があります。これは、ある住戸だけ契約容量を大きくした場合、他の住戸からの契約容量の変更に応じなくてはならなくなり、マンション全体の電気の供給容量をオーバーしてしまうからです。ガスに付いても同じことがいえます。

まとめ

また、マンションに限らず、リフォームやリノベーションをする場合、壁、天井や床などの仕上げ材に建築関連法の規制を受ける場合もあります・・・詳しくは、住宅リフォーム推進協議会のホームページで紹介されている刊行物(https://www.j-reform.com/publish/)などでご確認下さい。

以上、マンションをリフォームやリノベーションする際に、「出来ないこと、気を付けたいこと」をお話させて頂きましたが、なかなか解り難いことも多いかと思います。マンションのリフォームやリノベーションをお考えになる場合は、建築士事務所登録(適切なプランニングと設計が出来る証)をしている、リフォーム会社にご相談されることを強くお勧め致します。

Orcasaを運営する(株)Panomaは1級建築士事務登録をしております。お客様が叶えたいこと、やってみたいことなどなんでもご相談ください。次回もリフォームやリノベーションの話題をお届けいたします。素敵な提案と信頼できる現場管理をお約束するオルカサでした。