「リフォームしたい!」とキーボードを叩いて(みなさんスマホかな)インターネット検索すると出るわ出るわ素敵な写真。
皆さんも憧れちゃう、あんなおしゃれな家で過ごしてみたいですよね。モルタル、塗装壁、オープン棚、コンクリートむき出しの天井、ダクトや配管もむき出しでインダストリアルなカッコイイプラン。リフォームショップに行っても施工事例でそんな写真をたくさん魅せてくれますね。しかし、何故に誰もが「素敵!」と思う設えが新築のマンションではあまりされないのでしょうか?
それはデメリットがあるからです。
コンクリートむき出しの天井の注意点
天井をコンクリートむき出しにすると……なんていうことでしょう、天井が高くなり、部屋全体が広く感じるではありませんか。コンクリートの素材感が天井面を引き締め、住宅では感じることのできない、まるでカフェのような空間を演出、なんて。
しかしどうでしょう、今まであった二重天井がなくなるということは、人がインナーを脱ぐようなものですから断熱性能は下がると思いませんか?外気に近接するコンクリートの熱伝導率は1.6程度。二重天井を構成する石膏ボードは0.22だったかな……熱伝導率とは簡単に言うと熱の伝わりやすさを表す係数で、高い(大きい)ほど伝わりやすいのです。つまり、おしゃれのために断熱性能を下げてしまうこともあるのです。
真夏、戸建てで屋根裏にいるのとその下の部屋にいるのはどっちが熱いですか?空間の広さにもよりますが屋根裏のほうが熱いのは想像できますね。「二重天井を取ったらそんなに熱い(寒い)の!?」ということではありません。断熱面でも保湿面においても効果の違いは出るということです。
また、高さが増すことで部屋の体積も増え、特に冬場の暖房の効率(暖かい空気は上へのぼりますよね)は悪くなります。場合によってはエアコンの設置面より上の方ばかり暖かくなってしまうなど。天井カセット型にしても埃たまりそうだしなあ…。などなど、カフェ風のおしゃれなお部屋を見ると考えてしまうものです。
写真は弊社の会議室で、写真中央の釣り下がったものが天井カセット型エアコンです。オフィスやお店でよく見かけるタイプですね。

配管をむき出しにするときの注意点
次に、むき出しの配管はどうでしょう。かっこいいですよね。リフォーム後の写真しか見ていない(見る機会がない)方がほとんどだと思いますが、実は隠れて見えないところのキッチンやユニットバスの排気ダクトには保温材がまかれています。
少なくともキッチンレンジフードのつなぎ口1mと、外に触れる貫通部から1mは、新築であればほぼ内規で決められており施工しているはず。これは室内で温められて排気している空気が急激に冷やされて管に結露を起こさないようにしている事。法律で決められている事ではありませんが、やって当たり前のこと。
さあ、ふりかえって写真を見なおしたり、思い返してみてください。壁の貫通部(バルコニーに面する壁など)から天井や梁などを1mも囲う造作+仕上げ面はないのでは?工事を監督する私としては結露が怖いなぁと。部材が劣化したりカビたりするかも?と考えるとおすすめできません。
あと、防火上の注意点としてはレンジフードのつなぎがスパイラルダクトのままという事例を見ると、これも注意ですね。場合によってはダクトに熱を持っています。そもそもむき出しダクトの上に埃が溜まるから後悔、などの声もネット上で散見できますね……。
下の画像はスパイラルダクトの写真です。レンジフードではないので断熱していませんが。

デザインと機能性と建築法規を考えて
そもそも天井は高くすれば本当に空間が広がるのか?狭い空間で天井だけ高くしてもかえって幅の狭さを感じてしまうことも。横幅や梁型などほかの作り物との比率も大事ですね。
いずれにしても、もしコンクリートむき出しの配管現しでのリフォームをお望みの方は ご相談先で以上の点を質問してみてはいかがでしょうか?
とがったリフォームデザインをする際は、デザインだけではなく上記のような一般の方にはわからない事へのリフォーム会社の考え方とアプローチ方法、その家との付き合い方といった先々のメンテナンスをプランナーさんに確認する事も大切です。 一番大きなお買い物になるケースが多い【住】。洋服だって見た目だけではなく着心地も気にかけるんですから、よぉぉぉく考えて選びましょう。見えないところに気を使える会社に是非依頼をしてください。