コラム

リフォームで失敗しないために気を付けること。ユニットバスの交換工事を例に解説

 インターネットやTVショッピングなどで、ユニットバスやシステムキッチンのリフォームの広告を見たことがありませんか?各社とも、そろって「安い、早い、安心」を謳っていますが「本当に大丈夫?」と思うことが少なくありません。

 例えば、マンションでユニットバスをリフォームする場合は完工までのスケジュールは図のような流れとなり、とんとん拍子に商談が進んでも、ご相談から完工まで1か月程度は掛かります。夏場に新しいお風呂で爽やかに汗を流したいとお考えでしたら、5月中にはリフォーム会社に相談されるか、ユニットバスのメーカーショールームなどにお出かけになりご希望の機種を選定されることをお勧めいたします。

ユニットバスの施工スケジュールの説明

 さて、リフォーム会社や職人さんによる現場調査とありますが、この調査を軽視してはいけません。業界の内情をお話して恐縮ですが、リフォーム業者さんの建築スキルはいまだ普通の工務店や建築会社と比較して高いとは言い難いのが現状で、リフォーム会社の営業マンやコーディネーターの中には、ユニットバス交換のポイントを知らない方も散見されます。そこで、多くのリフォーム会社が現場調査に職人さんの同行をお願いして、お客様がご希望になるユニットバスが設置可能かを確認してもらうことになる訳です。

では、マンションでのユニットバスの交換工事の現場調査の目的とは何かをお話させて頂きます。

調査で確認すること

  • マンションの管理規約:工事申請の方法や期間、工事可能時間帯などの確認
  • 既存ユニットバスの採寸・ユニットバスは各メーカー共通の規格寸法がある
  • 既存ユニットバスの形状:浴槽と洗い場やドア天井の位置関係、天井の梁形や窓開口の有無
  • 既存ユニットバスの設備:給排水方式、追い焚きの有無、照明や換気設備の状況や配管の劣化等
  • 既存ユニットバスの不具合:カビや臭気、保湿、お掃除のし易さなどお客様が気になる事項を確認
  • 洗面脱衣所の壁や床:新規ユニットバス設置の際に一部解体するため、その補修を計画する
  • 既存ユニットバス廻りの図面:平面詳細や設備図
  • ユニットバスの搬出入経路:マンションエントランスから階段、エレベーター、廊下の幅や高さ
  • 職人さんの入場方法や駐車場の確保の確認  など

調査で解ること

  • 希望するユニットバスの設置の可否と発注可能な場合は発注内容の不備防止
  • ユニットバス交換工事の管理組合などへの工事申請や承認までの時間
  • 日祭日の工事や工事時間帯の制限による実工事期間の算定と正確な工程組み
  • 工程に沿った施工業者の事前確保
  • 搬出入経路の養生方法や駐車場確保に係わる費用の算定
  • 給排水配管等の劣化や新規電気配線が必要な場合の工期への影響と費用の試算 など

 ……確かにマンションでは販売時の図面、施工時の平面図や設備図が保管されていますので、極論を言えば現場調査は不要かもしれません。それでも現場調査へのご協力をお客様にお願いするのは、現場調査の目的が「図面と実態の相違をチェックし、不備のない発注をユニットバスメーカーに行い、適切な工事計画を立案」することにあります。何より、工事に先立って工事を行う場所やマンション全体を見ることで「安全、安心で高品質な工事を提供」することにあります。

 もし現在ユニットバス交換工事をお考えの場合、ご相談先に「現場調査の目的」を聞いてみてはいかがでしょうか。ご相談先の工事に対するスキルや姿勢などが見えるかもしれませんね。

 現場調査を長々と記述しましたが、皆様が一番気になる「価格」についてもお話させていただきますのでもう少しお付き合いくださいませ……では下表をご覧ください。

1616サイズのユニットバス交換工事見積書の例

ユニットバス交換工事のお見積書作成例

 これは仮にOrcasaがユニットバスの交換工事を行うことを想定して作成したお見積書例の一部です。1616サイズとは浴室の内寸が1600mm×1600mmの大きさのユニットバスのことで、一般的なマンションではこの規格が多く使われています。お見積にはこの表記載以外に「現場管理費、法定福利費、諸経費」などが計上されます。いかがでしょうか……今、ユニットバスのご相談先から見積書が提示されていらっしゃいましたら、比較して見てください。お手元の見積書が「ユニットバス1式〇〇円(設置工事共)、附帯工事1式○○円」程度の表記になっていませんか?このような見積を悪いとは言いませんが、工事範囲や工事項目、内容が不明確な見積でご契約されると、工事が終わった後に「それは契約に入っているのでは?などの言った、言わない」のトラブルになることが多いと聞いています。あまりに細かい見積もどうかと思いますが、ご相談先が「工事項目や内訳が明記された見積」を提出されているのでしたら、安心な業者さんでは……との判断材料にされてはいかがでしょうか。

 最後にこれだけはお話したいことがあります、それは「工事は安ければ良い」ではありません。ユニットバスはメーカーの工場で完成した状態で工場現場に搬入されません。部品の状態で現場に搬入されます。これを現場で組立するのも人(職人さん)ならば、付帯工事(木工事、設備工事、仕上げ工事)をするのも人(職人さん)です。ユニットバスの交換工事を複数の相談先にされていると、ビックリするほど安い見積を提出される業者さんがおりますが、魔法使いでもない限りどの業者が工事を行っても工事項目や内容は同じです。また、ユニットバスも仕入れも同じような価格です。それでも安くする、安くできるというのは無論その業者さんの企業努力もあるでしょうが、なにか無理があるのでは……と感じてしまいます。この点も、安い見積を提出された業者さんに確認することをお勧めいたします。

 まだまだお話したいことがありますが、次回以降もリフォームやリノベーションの話題をお届けしてまいります。素敵な提案と信頼できる現場管理をお約束するオルカサでした。