コラム

快適な空間とパーソナルスペースの関係

 快適な空間とパーソナルスペースは切っても切り離せない関係にあります。心理学的な知識があると、より快適な空間作りをすることができます。今回はソファの置き方を例にしてお話します。

パーソナルスペース(個人の空間)とは

 心理学では、物理的距離と心理的距離を表す言葉としてパーソナルスペース(個人の空間)があり、他人に近づかれると不快に感じる空間のことを言います。
 パーソナルスペースは男女でも異なり、男性は前方に人がいるのを嫌がり、女性は斜め前方に人がいるのを嫌がる傾向があるといわれています。さらに、過去の経験や記憶から無意識に身についていることが多く、広い空間が落ち着ける人、囲まれた狭い空間が安心する人というように、この違いは家族の間でさえ起こる場合があります。
 友人や親しい人同士で話しをするとき、距離がとても近い人がいますね。そういう人はパーソナルスペースが狭いということになります。自分のパーソナルスペースを事前に知っておくことで相手のことを理解できるし、不快だと感じることを回避することが可能になります。

3Pソファへの思い込み

 リビングには、大きな3Pソファの家具を置いて3人が座れるようにしたいと考える方もいるかと思います。ソファの一人当たりの幅は最低60cm必要で、3人掛けで2m程度あるとちょうど良いとされています。しかし、パーソナルスペースが人によって異なるので、実際には、真ん中に座る人は落ち着かないと感じる人もいることを理解しておきましょう。
 スペースに余裕があるならば、ソファ以外にパーソナルチェアをおくことをお勧めします。余裕がない場合は、3Pから2Pソファに変更することも検討してみてください。

 リビングは家族がゆっくりくつろげる場所にしたいですよね。お客様がここのお宅はなんだか居心地が良くて時間があっという間に過ぎるわ、と言われたら嬉しくありませんか。

参考文献

インテリアコーディネーターハンドブック 公益社団法人インテリア産業協会

パーソナルスペースの形態に関する一考察 渋谷昌三 山梨医大紀要 第2巻,41-49(1985)